Vol.5 キーワード:朝 気持ちよい朝。 成歩堂はベッドの中で伸びをした。 今日は御剣より少しだけ早く目覚めたようだ。 昨夜の熱い行為を思い起こしながら、成歩堂はにやけきった顔で、御剣の寝顔をのぞきこむ。 白い綺麗な顔が、羞恥と快楽に歪むさまを知っているのは己だけだという思いが、成歩堂の心をくすぐる。 つややかな髪を指先でつまみ、そっとくちづけた。 首筋に、自分がつけた痕を見つけて、成歩堂は苦笑した。 彼の衣装だからこそ、隠れる位置だけれども、例えば、御剣が成歩堂の同じ場所に痕をつけたとしたら、隠すことは出来ない。 成歩堂としては、隠せなくても別に構いはしないのだが。 御剣の身体には幾つもの赤い鬱血の痕。 己のものだ、と成歩堂が肌をきつく吸って、証をつけた痕。 成歩堂の身体には赤い筋。 浸蝕される痛みと、すぎる快楽に、流されまいと御剣のすがった痕。 「おはよ」 御剣の睫が動き、目が開いた。 すぐに成歩堂の顔を見上げてきた。 「おはよう」 成歩堂は御剣に顔を寄せる。 眠気からではなく、再度、御剣の瞳が閉じられた。 柔らかな唇を重ね、朝の挨拶を交わす。 恋人同士になってから、かかすことなく、続けられる挨拶。 成歩堂は御剣の素肌の感触を楽しむ。 「・・・」 抱き締めあったときに、御剣の大腿部に、熱いものが触れる。 成歩堂は慌てて弁明する。 「えっと、朝から欲情したとか、そんなんじゃなくてね。ほら・・・」 御剣は明らかに呆れた表情を浮かべた。 「私も男だから、判っている」 「・・・そうでした」 冷ややかすぎる視線に、生理現象は手洗いにいくまでもなく、おさまることになった。 |