制服プレイ? 「み、御剣・・・これは…?」 どういう意味なのか、と成歩堂の語尾は小さくなる。 手渡された綺麗にラッピングされた包み。 御剣から貰うプレゼントが嬉しくない筈はなくて、成歩堂は嬉々として、受け取ったのだが− きらきらしたリボンを解き、布様のカラフルな模様のテープを剥がし、更に内側に白い柔らかな紙で包まれたそれを取り出した。 出てきたのは紺と白の制服。 成歩堂もよくよく知っているその制服は、警官のもの−でも、スラックスではなく、スカート。 婦人警官の制服。 「えぇっと…どういう…?」 御剣が着てくれるということなのだろうか。 それなら、すっごくプレゼントなのだけど… 「君に似合うと思って」 手渡された時に、最初にそう言われた− 御剣は口元に笑みを浮かべて立っている。 「君に似合う制服を選んでみたつもりだが?」 「ええ…??!!これって女の子の制服…」 「・・・。そういうものではないのか?前に君が言っていただろう。もう忘れたのか、仕方ない」 (検事の御部屋その2とその3を参照) 御剣が大袈裟に溜息をつく。 成歩堂は自分が御剣を嵌めた穽と同じ穴に嵌ったことに気づいた。 掘った御剣にその気はなかったようだが。 純粋に、普通のカップルのすることだと信じている… 「…これ、本物でしょう?」 成歩堂は話をふることにした。 出来れば着たくはない。 「ぼくには小さいと思うんだけどなぁ」 成歩堂と同じ背丈の女性警官用ってそうあるとは思えなかった。 そう言い訳して着なくてすむようにしたかった。 「大丈夫だ。私がそんなミスをすると思うか?」 御剣は胸を張って答えた。 その根拠はなんなんだよう、と成歩堂はちょっと泣きたくなった。 「勿論、それは本物だ。快く譲ってくれたのだ。ちゃんと代金を払うと言ったのだが」 成歩堂は言葉を失う。 誰に? どうやって? 何て言ったんだ!? 「ま、まさか、ぼくに・・・って言ったの・・・?」 青くなったり白くなったりしながら、成歩堂の語尾が震える。 「まさか。君に、と言って君の耳に先に入ったら面白くないだろう?」 御剣はにっこりと微笑んだ。 成歩堂は少しだけほっとした。 「私が着る、と言ったのだ。数センチしか変わらぬだろう。君にも着れる」 成歩堂はぽかりと口を開けた。 開いた口がふさがらず、御剣に顎を叩かれた。 「…とまぁ、そういうわけだ」 経緯を簡単に聞き、成歩堂は目星をつけた。 御剣の視線が遠い。 隣にいた刑事はすぐに気づいた。 この検事がぼんやりとすることは珍しい。 何かを深く考えているわけでもないようだ。 眉間に皺を寄せているでもなく、ただ、視線だけが違う次元へとんでいる。 夢でも見ているような柔らかな視線。 うっかり覗き込んでしまって、刑事の心臓が跳ねた。 「検事?どうかしたんっすか?」 自分の声が上ずっていないか、汗が出た。 「あ、あぁ。少し、考えごとだ。たいしたことではない」 そう言うと、検事は僅かに俯いた。 長い前髪が綺麗な顔を隠す。 思わず、刑事は覗き込む。 目が合った。 検事が笑った。 「本当に、たいしたことではない」 心配されたのだと思ったのだろう。 ただ、検事の顔を見たい、と衝動に動かされただけの刑事は申し訳ない気持ちになった。 御剣が唇を僅かに動かし、止めて、躊躇いを見せてから、もう一度動かした。 「その…警官の制服は私に似合うか、と思っただけだ」 御剣はまた視線を動かした。 その視線の先には制服を着た警官が数人、働いていた。 刑事は頷いた。 「検事はスタイルがいいから、きっと何でも似合うっすよ。何なら、ひとつ貰ってきましょうか?」 口に出してみて、刑事は本当に御剣に制服を着せてみたくなった。 「是非、着てみてくださいっす」 「本当に似合うだろうか?・・・着て見たいのはどちらかというと女性のものなのだが」 一瞬、刑事は口ごもる。呼吸が止まるかと思った。 「そ、そうっすね。検事はそっちのが似合うかもしれません。男性のは地味っすからね。何なら、ひとつ貰ってきましょうか?」 心臓が裏返るような気がしながら、刑事は早口に言った。 御剣の制服姿を想像して、顔が真っ赤になる。 「着れるものだろうか?」 「大丈夫っす。ちょっと聞いてみますから」 検事局と警察のアイドル御剣検事の御要望ということで、署内でこっそりと、しかしすごいスピードで全てが承認され、ひとつ特別に制服が発注された。 そんな裏までは御剣は知らなかったが、二日後に刑事から包みを渡され、お礼に食事を奢り、後でお礼を贈る為に他に誰の手を煩わせたのか聞くことは忘れなかった。 「君が着るって・・・」 成歩堂は想像してくらくらした。 短いスカートから伸びる白い足とか。 めくって手を入れたら楽しいだろうとか。 それを皆が想像したと思ったら、少し腹が立った。 「折角、君に似合うと思ったのに」 御剣が恨みがましい視線で見ている。 「わかったよ。着るよ」 皆が御剣が着ると思っている服を自分が着るのは少し意趣返しとして楽しいかも知れない。 −制服を着た御剣にいろいろするとことか想像したんだろうな、ざまぁみろ。ぼくが着てやる 成歩堂はひねくれた考えを持ってみた。 御剣にせかされて、成歩堂は仕方なく服を脱ぐ。 「なんだか、興奮するな」 御剣が楽しそうに、成歩堂に上着を着せる。 「足元が寒い」 スカートは股間が心もとない。 足をつけていいのだか、開いて立てばいいのだか。 下着をはいていないと、どちらも居心地が悪い気がした。 それは御剣の視線のせいもあるかも知れない。 「ふむ」 御剣は眉間に皺を軽く寄せる。 難しい表情で何かを考えている。 「だから、似合わないって言っただろ」 「そんなことを考えているわけではない」 「あーあ。君が着たほうがくれた人も嬉しかっただろうに」 「着てみせてもいいが?」 「駄目。駄目ッ。御剣のそんな姿、見せたくない。ぼくが着るよ」 御剣の素足を見せるなんて、スカート姿を見せるなんて、絶対に嫌だ。 成歩堂の子供のようなごねっぷりと独占欲に御剣は少し、機嫌をよくした。 彼の気持ちには気づきながら、試す為に聞いてみる。 「似合わないということか?」 「そんなことないよ。他人に見せるなんて勿体無い!ぼくだけの・・・」 そこで、御剣の唇に塞がれる。 御剣の手がスカートの中に侵入する。 大腿部を撫で上げ、腿の間を探る。 「・・・ッ」 成歩堂は息を呑む。 御剣の指が、成歩堂の分身を優しく抜く。 その後ろの双のものを軽く揉む。 「成歩堂」 御剣は身体をぴたりと寄せ、成歩堂の耳朶を軽く唇で食む。 「み、御剣っ…」 細身に作られたタイトスカートはめくりあげにくい。 だが、一度あげてしまうと、腰付近でわだかまって下ろしにくい。 ちょっぴりみっともない格好にされて、成歩堂は戸惑った。 スカートの下からそそりたつ己の分身が更に情けなさを誘う。 だが、御剣はそんな格好、様子にそそられたのか、自らも服を手早く脱いだ。 そして、ベッドに身を沈めた。 「駄目だ。そのまま」 成歩堂も続いて、服を脱ごうとしたら、止められた。 「何で?」 「脱いだら・・・お預けだ」 御剣の視線が濡れている。 ゆっくりと膝を立て、脚をひらく。 微妙な柔らかな秘所に、細い指があてられる。 成歩堂の眼の前で、御剣は彼を受け入れるそこを解しはじめた。 合間に見える、御剣自身も硬度を増しつつあった。 「わかった」 成歩堂は堪えきれず生唾を飲み込み、いそいそと御剣の両脚の間に身体を滑り込ませる。 濡れて柔らかく解された秘所に己を充てる。 御剣の両腕が成歩堂の背に回り、ぐっと引き寄せた。 びくっと成歩堂が震え、御剣の中に迸りを注いだ。 御剣の熱に浮かされたような表情に僅かに変化が見られた。 微笑みを浮かべた。 「はやいな」 「…ごめん」 揶揄う響きで。けして成歩堂を責めているわけではない。 少しばつの悪い表情を浮かべて、成歩堂は御剣の身体を抱き締めなおした。 うっすらと染まった首筋に唇をあて、ぺろりと舐めた。 そのまま今度は軽く吸いあげ、少しずつずらしながら、柔らかな皮膚を味わう。 御剣の指が成歩堂の背中に軽くたてられる。 「ねえ、脱いでもいい?」 素肌を感じたい、と丁度考えていたことを読まれた気がして、御剣は笑った。 成歩堂には敵わない、と思った。 頷いてみせると、成歩堂はゆっくりと身体をしりぞけた。 身体が離れる直前、唇をあわせ、舌を絡ませてきた。 あたたかなキスに夢中になっているうちに、身体がふたつになる。 成歩堂は手早く制服を脱いで放った。 「丁寧に扱え」 途端に御剣からのクレーム。 「あとでクリーニングにだしとくよ」 しどけなく横たわった身体に寄り添う。 腰を抱いて、素肌が触れ合う感触を楽しむ。 御剣から身体を押し当ててきた。 成歩堂は期待にこたえるべく、真向かいの状態で御剣の大腿部を押し上げ、片足を持ち上げ、己の片足を間に入れた。 二人の液体で濡れた部分に、これまた、己の濡れた部分を触れさせる。 既に硬くなった分身はもう一度、狭い窟にもぐりこむだけの頑強さを取り戻していた。 あげさせられた脚を御剣は成歩堂の腰に絡ませる。 身体を寄せ、下腹部を押し当てあう。 ぴったりとおさまった成歩堂を御剣の内部が締め付ける。 柔らかで熱い内壁が成歩堂を包み込む。 動かせないくらいきつく締められて、成歩堂は困った表情を浮かべた。 気持ちいいけど、またすぐに達してしまいそうで。 御剣はうっすらと瞳をあけて、成歩堂の様子を見て、唇の端を上げる。 「気持ちいいか?」 わざと締め付けているのだと成歩堂は気づいた、がどうすることも出来ない。 自身が御剣を抱いている、のだが、何故か主導権はいつも御剣にあるような。 御剣は自分の中一杯に成歩堂を感じて、とても気持ちがよかった。 己の中にある、熱い塊。 脈打つそれを自分のものにしている、つまり成歩堂を自分のものにしているという感覚で充たされるから、抱き合うという行為が好ましかった。 御剣の中や、小さな入り口が蠢き、成歩堂に快感を与える。 そして、成歩堂は抵抗なんて出来ずに、素直に快感の証を提出してしまう。 御剣は身体一杯にそれを感じて、満足気な溜息をついた。 「…今度はぼくがきみを気持ち良くしてあげるよ」 成歩堂は繋がったまま抱き締めあって、御剣の身体を下になるよう九十度回転した。 御剣は抵抗せず、仰向けになった。 成歩堂は御剣の裸体を眺めるだけでもすぐにも達してしまいそうな自分を律する。 キスを交わしながら、胸元や脇腹、下腹部を撫で、緩やかに下半身を律動させる。 次第に激しくなる動きに御剣が声を漏らす。 せまい秘所に逆らい、出入りする。 蜜が溢れ、御剣の白い腿を汚す。 彼の身体がはねるポイントを強く突き、押し当てるように擦る。 御剣が自分の腕の中で悶える姿は成歩堂を充たしてくれるが、反対に乱しもする。 ついに御剣が達する。 身体が一度大きくのけぞる。 それを強く引き寄せる。 漣のような小さな震えと、中の熱い収縮。 腕の中で身体の強張りがとける。 整わぬ呼吸を繰り返す、薄くひらかれた御剣の唇を指でなぞった。 「ね、ぼくのこと好き?」 上がる呼吸をおさえ、問う。 紅潮した滑らかな頬を撫でると、ようやく御剣が目をあけた。 何を言っているのだ、という視線。 「ぼくのこと、好きって言って」 「…きみは・・・私が好きだろう?・・・」 「アタリマエだろう」 「同じだ。アタリマエのように君が好きだ」 どうしてだろうな、と御剣は呟いて目を閉じた。 「どうしてだろうね」 成歩堂は零れる笑みを隠せない。 御剣の肩に顔を埋め、甘い香りを吸い込んで、彼も目を閉じた。 充たされた感情と、互いのぬくもりに包まれて、二人は心地よいひとときを過ごした。 |