||||| 存在する唯一の解[Chinese Remainder Theorem] |||||
存在する唯一の解 ||||| 存在する唯一の解[Chinese Remainder Theorem] ||||| since 2000 by さくらんうさぎ   last modify:20100110
手紙




「御剣、その格好で登山するのかい?」

どうして自分が山に登るのかはわからない、しかしそれより不思議なのはいつもと同じ格好の検事。

これから登山ではなく、パーティに出かけるような隙のないいでたち。
襟元はひらひらだし、高価そうな真紅のスーツも決して労働向きではない。

腕を組んで、御剣は言う。

「きみは、私にあのような格好が似合うと思っているのか?」

「似合わない」

思わず正直に答えた成歩堂に、御剣は気を悪くしたふうでもなく頷いてみせた。

「さぁ、では登ろうではないか」

恋人が行こう、というのだ、成歩堂はついていくしかない。

彼と自分の行く手には世界にも有名な、日本で一番高い山。

頂上は雲の上、別世界の山。


暫く登るうちに段々成歩堂は無口になっていく。
御剣は成歩堂が話しかけない限り、無駄な話はしようとしないから、何時の間にか無言になっていた。


疲れて、膝に手をついて頭を下げる。
見るとはなしに見つめた地面に動く影を見つけた。

−なんだろう

空を見上げると、頭上高くに旋回する鳥の影。



「疲れたのか?」

先をいっていたと思っていた御剣が側に立っていた。
成歩堂の頬に白い手が触れる。

成歩堂はその手に手を重ねた。

「ううん。君がいるから大丈夫」

にっこりと笑ってみせる。

「あれが気になっただけ」

太陽の光が眩しい。
成歩堂の指先を見つめる御剣が目を細める。

「鷹・・・だろうか」

「鷹・・・何だか縁起いいね」

天高く舞う鳥。
目の前、自分の下に踏みしめている土地。

「一富士二鷹…あと茄子があれば完璧だね」

「……」

「何?御剣」

御剣が微笑む。それは少しだけ淫靡に見え、成歩堂はどきりとした。

「あるではないか」

「え?」

御剣の視線を感じる。
下半身が疼く。


「み、御剣・・・」



「あぁ・・・?朝?え?」


いつもの自分の部屋。
朝陽が細いカーテンの隙間から差し込む。

新年−の光。
一月二日。

成歩堂は枕の下に手を入れる。
折れないように透明のプラスチックに挟んだ一枚の葉書。

−御剣からの年賀状


彼に手紙を出したのは数知れず。
彼から来た返事はない。


彼から貰った手紙といえば−

成歩堂は溜息をつく。

今年の年賀状を手製の容器から取り出す。
大切にそっと撫ぜる。
手書きの文字に指をのせる。

御剣が書いた文字。

成歩堂の口元が緩む。


「御剣、今年もよろしく」


「こちらこそ」


「え!?」


ばっと振り向くと、そこには夢の中と同じ姿の御剣。

優雅に御辞儀をしてみせた。


白い指にひっかかっているのは成歩堂が渡した鍵。


「起こしては悪いと思ってな」


成歩堂の手招きに呼ばれて、御剣はベッドの端に腰掛ける。

「いい夢見たんだ」

「そうか」

御剣は肩に乗せられた成歩堂の頭を撫でる。

「一富士二鷹だった。それに御剣も出てきた」

「あとは茄子だけだったな」

「それが…茄子は…」

あるにはあったんだけど、と成歩堂は苦笑する。

「なら、この上なく縁起がよいな」



「御剣がね、僕のがそうだって」

成歩堂の言葉の意味がわからず、御剣の眉間に皺がよる。

成歩堂が御剣の手をとって、己のきざし始めていた股間に導く。

「これがね」

「!!私がそんなこと言うわけないだろう!」

「だから、夢の中の御剣が」

「夢の中なら、きみのせいだろう!」

次第に生育する成歩堂の分身。
御剣のその気はなかったが、こんなにもストレートに求められてしまうと、情がわかぬわけがない。
成歩堂のことが好きなのだから。


「今年もよろしく」

御剣は成歩堂の唇に触れた。
それから、成歩堂のパジャマを引き摺り下ろした。

「みつるぎ?」

「したいのだろう?」

成歩堂の上を向いた雄に唇をあてた。

白い指が支えるように、全体を包み込む。
ゆっくりと愛撫を開始し、成歩堂はその動きに吐息を漏らす。

「御剣…服が」

御剣は前髪の間から見上げて、目を細めた。

成歩堂の雄を追い上げる。
昇りつめる感覚、熱くなる下半身。
留めることの出来ない波。

柔らかで熱い咥内に含まれて、成歩堂の今年初の精が弾けた。


御剣が微笑みを浮かべたまま優雅な仕草で口を拭う。
ディナーの後のように。


「これで終わり?」

成歩堂は息も整わぬまま、微笑みを浮かべて御剣の手を掴む。
白い指先に唇を落とした。

「そんな筈はないだろう」

御剣が上着を脱ぐ。
殊更ゆっくりと時間をかけて全てを脱ぎ去った。


「私を満足させてくれるのだろう?」


「勿論」


御剣の身体を成歩堂は抱き締めた。


「姫初めかな」

成歩堂の言葉に御剣がふふ、と笑って、成歩堂の額を弾いた。



今年も熱い一年になりそうだ。




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++novel
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普通に甘いORエロい恋人モノには印をつけてません。(本番シーンを含んでいても) 怖い系・寒い系には水色(黒ナル?白ナル?)、キモい系(キモ歩堂)にはピンクです。(エログロとかすぷらったとかそういう系ではありません。) ギャグは黄色です。
さくらんうさぎ的な原作ナルミツ感に基づく一貫性を持った小説群です。




基本妄想小説。一部イラスト。
カレーを作ろう (初:ナルミツ小説)
・検事の手料理編その1 カレーを作ろう
・検事の手料理編その2 料理の必須品
・検事の手料理編その3 浪漫街道
・検事の手料理編その4 定番のそのようなこと
・検事の御部屋編その1 おねだり
・検事の御部屋編その2 食べ合わせ 3への前振り。
・検事の御部屋編その3 お風呂に入ろう
・検事の御部屋編その4 制服プレイ? 表面+裏面
・検事と一緒 その1 図書館
・検事と一緒 その2 神社 表面+裏面
・検事と一緒 その3 花見
そうだ、京都へ行こう
そうだ、京都へ行こうU京都で思いついた発言集
御剣さんクリスマスver イラストなので・・・+小説
クリスマスver1  イラストなので(現在リンク切れ中)
クリスマスver2 イラスト+小説
落書きNo.1
記念日 100日連続更新妄想
101回目 101回目total更新妄想
アメリカ版DS妄想 Miles/Phoenix前提 Phoenix×御剣 (過去小ネタより。Translation of this fic into English at some future date )
アメリカ版DS妄想 Miles/Phoenix前提 Phoenix×御剣 changeling 前半戦(Translation of this fic into English at some future date )
5月4日 スーパーにいけない子猫ちゃんの為の限定更新
5月5日 子供の日イラスト
love forever? さくらんうさぎ的ナルミツ恋愛感。根底はそんな感じで。
Shall we dance? ナルミツでメイミツでミツマヨでメイナル・・・?謎の小話。みんな御剣が好きなの。
ハロウィン時間さえあれば・・・もっと書きたかった
Sunrise あまりにも寒かったので思わずメールでss
Status きみとぼくの場所ss
Blue Moon ,Blue Night Sky ,Blue Fallin Snow... 2004年冬・2005年2月無料配布本サンプル。(内容は違います)
メッセージ復帰第一弾
弁護士の恋復帰第二弾
たとえばそんな物語  キーワードから連想された妄想の披露 なんでそうなるの?というツッコミは不可。
たとえばそんなVol.1 キーワード:監禁(parallel)
たとえばそんなVol.2 キーワード:ハニートースト
たとえばそんなVol.3 キーワード:東京バナナ
たとえばそんなVol.4 キーワード:オリンピック
たとえばそんなVol.5 キーワード:朝

基本妄想:30のお題編
30のお題(逆裁サーチさんより)
六法全書 最中の睦言
 ちょこっと刑事→検事 でもナルミツ
切符 カップル専用
携帯電話 大人向け
寝不足 お約束
写真 おかず用に
バッチ 短め。珍しくしんみりとエロなし
公園 待ち合わせ
宴会  冥ちゃん登場 冥×御剣(笑) でもナルミツ
キーボード あの名曲
 閉じ込められたのは?
トノサマン イベント系
ケーキ  ショートケーキが好きな理由
誤認逮捕 仕事と恋
雪だるま ワールドスタンダード
手紙 年賀状
セピア色 思い出と同窓会
笑顔 御剣の好きなもの
ホテル
雨上がり 夕焼けと想い人
怖い 魔法
コーヒーカップ 甘いキス
もしも・・・・・・ English
朝日の中で 視線
暖炉
アリバイ
花瓶
オバチャン
信じましょう 難解。一見文章力0。一度書いてみたかった心象
異議あり!!