朝日の中で いつもより少しだけ早く、目が覚めた。 休日に早く目覚めるって、何だか子供みたいだと思った。 きっときみはそう言うんだろうね。 隣でぐっすり眠るきみは、多分今日はいつもより遅い御目覚めだろう。 折角の休日、いつも忙しいきみのこと、無意識に休養を取るだのろう。 カーテンの隙間から少しずつ強くなる光。 夜明けまでもう少し。 きみはどんな夢の中? そうっと上半身を起こして、綺麗な顔を覗き込む。 安らかな寝顔、ゆるく結ばれた唇はどことなく微笑みを浮かべているようにも見えた。 その透明な肌に触れよう、と手を伸ばして、直前で止めた。 起こしてしまっては可哀想。 良い夢ならこのままずっと眠ったままで。 柔らかな髪に 艶めいた唇に 影を作る睫に 吐息さえかからぬよう、眠りの邪魔をしないように、ぼくはじっと彼を見つめる。 それはきっとどんな祈りの時間よりも静謐で一途な時間。 朝の光がきらきらと注ぎ込む。 太陽が昇った。 いつもの時間、きみの瞼が動いた。 緩やかに瞼が持ち上がる。 澄んだその眼差しが、一番にうつすのは、ぼく。 覗き込んでるぼくに、少しだけ目を見張ってみせて、それからきみは笑った。 「おはよう」 「おはよ」 きみの白い腕が上がり、ぼくの頭を引き寄せる。 柔らかな唇が、ぼくの唇に重ねられる。 「・・・起こしても構わなかったのに」 「気持ちよさそうに寝てたからね」 きみの形良い指が、離れたぼくの唇に触れる。 それから、頭を肩によせてきた。 首に甘い、微かな痛み。 きみのキス。 いつでも冷静に見える、きみの焔。 ぼくを自分のものだ、と言ってつける痕。 「・・・朝から、欲しくなっちゃうでしょ」 「・・・そのように仕向けているのだ」 「折角の休みなのに?」 そう言いながらも、ゆっくりとぼくはきみの上に覆いかぶさる。 滑らかな腕がぼくを抱き寄せる感触。 耳元でそっと囁かれた。 「また眠ればいい・・・二人で」 現実で睦みあうのも二人で。 夢におちるのも二人で。 「そうだね。ずっと」 一緒に。 生きていこう− 眩しい朝日に想いが朧にならぬよう、声には出さず、唇だけを動かした。 |