バッチ それは単なるカタチに過ぎないけれど。 ぼくは今、とても幸せです。 あのひとと会うことが出来た。 頑張っている君はいつか報われるから。 きっと会うことが出来るのだから。 負けないで。 逃げないで。 一緒に決めた道を目指そうよ− 窓の隙間から入り込んだ朝陽。 反射して煌いた小さなそれを成歩堂は手の中に握り締めた。 いつものように心の中で語りかける。 昔の自分に− 懸命に好きな子を追いかけた、昔。 二度と会えないかも知れない、絶望。 ただただ、唯一の可能性にかけた、この道。 がむしゃらに突き進んだおかげで、夢を叶えることが出来た。 「ぼくは、とても幸せです。君も幸せになれるから」 小さく呟く。 過去に飛ばす、言霊。 「君の好きなひとに必ず会える」 「今日も、御剣に会える」 成歩堂はバッチを胸につけた。 |