窓 熱い− 明確な意思を結べない… 覆いかぶさる男の身体が熱い、と思った。 それとも、熱いのは己自身の体温か。 「な…成歩堂…」 御剣は男の後頭部に触れる。成歩堂の唇が、胸を這い、悪ふざけをしかける。 声を堪え、御剣は男の肩を掴む。成歩堂が笑う気配。 「ね、きみは今、ぼくに捕まってるの」 ようやく、成歩堂が顔を上げる。にっこりと笑ってみせる。 腕を上げる、と同時に御剣の腕もひっぱりあげられる。 僅かな金属音。銀色の枷が手首を結ぶ。 「逃げられないってやっぱり、萌えるのかな?こんなになってるよ」 御剣の先端に成歩堂は指を滑らせる。濡れた指先を御剣の目の前に差し出す。 「っ…」 成歩堂は再び、御剣の身体を弄ぶ行為に没頭する。白い肌に歯を立て、軽く吸う。手錠をかけあった手は指と指を絡めた。御剣の指に力がはいり、成歩堂は嬉しくなる。 「もっと強く握ってて。二度と離れないように」 平たい下腹部を掌で円をかくように撫でる。御剣の足先に力が入り、シーツが緩やかな波を描いた。 成歩堂は膝を押し上げるようにして持ち上げ、結合するための場所を探る。 「ここまで濡れてる」 零れ落ちた雫が狭間を濡らす。己の手の中で乱れる、御剣の姿に、成歩堂はこの上ない快感を覚える。指を濡れた入り口に。御剣が息を漏らし、そこはきゅっと成歩堂の指を締め付ける。 「御剣…」 成歩堂は指をそこに入れたまま、上半身を移動させ、御剣の耳に口元を近づける。 御剣は潤んだ瞳で成歩堂を見つめ、唇を僅かに動かす。成歩堂は彼の望むとおりにキスを交わす。 「御剣、好きだ」 指がきゅっと締め付けられた。成歩堂の声に反応する身体。 「…焦らすなッ…」 「駄目。だって、御剣、気持ちいいでしょう?」 ふいっと御剣は目をそらす。 白い天井、白い壁。 何もない部屋では、見るものは、恋人くらいしかない。 窓もない部屋。 快感に震わされながら、御剣はぼんやりと思う。 窓があろうが、なかろうが。 格子があって窓の意味がなかろうが。 成歩堂がいれば、その部屋に何があろうが、何がなかろうが、自分は気にしないのではないだろうか。 完全な密室で、その上、手錠をかけられて。 そこまでしないと、成歩堂は自分を手に入れた気になれないのだろうか。 −こんなにも、もう囚われているのに きみ以外の全ての被造物をどうでもいいと思っているのに− 「成歩堂…」 自由な手で彼の顔を強引に引き寄せる。 唇を重ね、呼吸を奪う。 開かされた足で、彼の腰を捕らえて、引き寄せる。 「好きだ」 成歩堂は、泣きそうな顔で笑って。 「敵わないな…。すごい御剣が好きだ」 ゆっくりと身体を重ねる。 熱い塊を柔らかな部分で感じて、御剣は目を閉じた。 |