携帯電話 離れていても、繋がれる方法− 最も、簡単なのは電話。 互いの声で、求め合い、追い上げる行為じゃなくて、もっともっと熱い方法を思いついた。 成歩堂の携帯は折りたたみではない直線形。 御剣は無造作に放り出されたそれを手に取る。暫く弄んでいたが、成歩堂は気づかない。 彼の持ち物、彼の手がいつも持っているもの、彼と多分、一番近くにいれるモノ。 そう考えると、その携帯が少し羨ましくなった。 「後で電話するよ」 法廷に備え、てんやわんやの事務所。 折角の来訪を成歩堂は残念に思いつつ、御剣を玄関まで見送った。 「頑張りたまえ」 「勿論」 舌を絡ませて、息を奪い合う、深いキス。 それだけじゃぁ、全然足りない。 「残念・・・仕事がなかったら、いろんなこと出来たのに」 成歩堂は甘えるように御剣の頬に自分の頬を摺り寄せる。 「おやすみ、御剣」 最後に白い額にキスをして、御剣を見送った。 家に帰った御剣は携帯を取り出す−それは成歩堂の携帯。 自分の携帯は彼の事務所に置いてきた。 成歩堂は気づくだろうか。 頬が緩む。 着信音を切り、バイブにかえた。 風呂から出て、履歴を確認。 −己の電話番号から 御剣の白い指が愛しそうに液晶をなぞり、それから唇をあてた。 「成歩堂」 その携帯を濡れぬように防水素材で包む。 それから、その携帯にゴムをかぶせた。 二人の営みにはあまり使わない、それ。 したほうが後は楽なのだ。だが、たかまりあっている時にそんな余裕も持てないことが多い。 もし、御剣が拒否するなら、成歩堂もちゃんとするのだが、御剣は成歩堂の行為を咎めたことはなかった。 寧ろ表皮一枚で相手を感じあえることを好ましく思っていた。 それでなくても、己の表皮があることさえ、疎ましいのに。 完全にひとつのものになんて、なれっこないことを気づかされるから。 御剣はベッドに横になり、下肢を僅かに開く。 まるで、成歩堂を受け入れるかのように、膝を立て、己の指で奥を解す。 淫らな音に、白い頬が染まり、息が上がる。 充分にほぐれたそこに、携帯をゆっくりと挿入した。 暫くそのまま、身体を横たえる。 異物を感じ取り、御剣の雄が力を帯び始める。 「あっ・・・」 御剣が眉をひそめる。 着信あり− 身体の中で、刺激を敏感に快感へと変換する箇所で、携帯が震える。 成歩堂からの電波−想い−を今、身体の中で受け止めている。 そう考えると、更に身体が熱くなる。 彼の手の動きを思い、声を思い出し、自らを追い上げる。 中で震えて、御剣を刺激する成歩堂・・・ 白濁が飛ぶ。 携帯も止まった。 その後、数度、体内で蠢く携帯による快感で震えた。 ゆっくりと眠りに落ちかけているところに来る振動はいいようもなく、甘美だった。 翌朝、法廷に入る前、何も言わずに携帯を差し出すと、成歩堂も何も言わずに御剣の携帯を差し出した。 |