六法全書 「君も知っていることだと思うが」 昼下がり、枕元の六法全書を手に、検事が語り始めた。 「世界で最も多く出版されている本は聖書だ」 成歩堂は横たわる白い背に口づけを落としながら頷く。 彼から顔は見えていないのに、頷いた気配に気づいたのか、言葉を続ける。 「六法全書がもっと人の手にいきわたれば・・・」 ちゅ、ときつく吸うと途中で言葉が止まった。 「続けて・・・」 熱い息を吐きながら、成歩堂は囁く。 「行き渡れば、犯罪は減るだろうか・・・それとも増えるだろうか」 最後まで早口で言い切って、検事は甘い吐息をはいた。 「こんなことも罪なんだ、とわかる人にとっては減るかも知れないね」 成歩堂は検事の双丘を撫でる。指を濡らして、奥を探る。 「でも・・・この罪で、これだけの服役ですむんだ、という理解をしてしまう人にとっては増えるかも知れないね」 熱い入り口に指を差し込む。ゆっくりと蠢かし、検事が声を上げる場所を突く。 「あ・・・」 検事が堪え切れなくなって、腰を浮かしたら、それが合図。 腰を掴んで、後ろからいきり立つものを、濡れた場所に押し当てる。 ゆっくりと楔を埋める。 愛が壊れないように、出来るだけそっと。 愛が逃げないように、出来るだけしっかりと。 原初の衝動のままに、愛する者を貫いて、揺さぶって、声を上げさせて。 果てた身体に覆いかぶさるようにして、また柔らかなキスをする。 「そうだ。他にも使い方があるかも知れないよ」 成歩堂はシーツを握る手の上に己の手を重ねた。 「畳の目を数えるみたいに・・・ページを読んでいったら、長続きするかも知れない」 行為の最中、達することを止める為、出来るだけ長く貪る為に、又は仙術の一種としてある方法を真似て、使用してみようと成歩堂は思いつく。 「馬鹿・・・」 呆れた声。 「馬鹿だよ。ぼくは。御剣馬鹿なの」 「・・・」 成歩堂の手が検事の顎にかかり、そっと横に向けさせる。 御剣は目を閉じて、成歩堂のキスを受け入れた。 |