||||| 存在する唯一の解[Chinese Remainder Theorem] |||||
存在する唯一の解 ||||| 存在する唯一の解[Chinese Remainder Theorem] ||||| since 2000 by さくらんうさぎ   last modify:20100110
love forever?




「貴様など絶対に信じないッ」


唐突に恋人に手を振り払われて、ぼくは呆然とした。
一体何が彼を怒らせた?

それまではぼくの腕の中におとなしくおさまっていたのに。
有体に言うとパジャマのボタンをはずすとこまでいっていたのに。

盛り上がっていた気持ちがすぅっとひいた。
というか、御剣を怒らせた、ということにぼくはうろたえる。

確かに御剣は気なんて長くないし、普通の状態なら怒られてもあんまりぼくも気にしないんだけど。
こういう恋人同士の時間に彼を怒らせる、というのは『破局』にも繋がりかねない。
親友兼恋人(兼幼馴染?)な関係っていろいろと使い分けが微妙なんだよ。

「触るな」

キッパリと宣言されて、御剣はぼくに背中を向けた。

「ね、御剣」

ベッドから出ていかないってことはまだ心底キレてるわけじゃない。
訂正、さえすれば、何か彼を怒らせたことを謝りさえすれば、御機嫌はなおりそう。

「御剣、好き」

背後からそっと手を回して、耳元で囁いた。
昂ぶりはじめていた身体はふるっと震えたが、今度は御剣は手を払わなかった。
身体を密着させて、襟首に唇をおしあてる。
白い肌がみるみる染まっていく。

「御剣、愛してる」

耳朶から首筋をぺろっと舐めると、御剣が声を抑えた。
熱い呼吸だけが聞こえた。

「ッ・・・」

「御剣、怒らないで」

パジャマの上衣の中に手を突っ込み、肌に触れる。

「好き・・・愛してる、ずっと・・・痛ッ」

手の甲をがりっと引っかかれた。

「信じないと言っているだろうッ」

「えっと・・・」

御剣の悲鳴のような押し殺した叫び。
手の痛みより、その響きがぼくに突き刺さる。

御剣が『信じない』のは何?
ぼくがきみを好きだってこと?
いや、違う。なら、もっと早い段階で怒る筈。

『ずっと好き』ってこと?

……御剣が怒ったのは


『きみだけを永遠に愛すよ』


あぁ、もしかしたら、これか。


「御剣」

ぎゅっと身体を抱きしめる。

「・・・ぼくは十五年、きみを追ってきた」

震えてるのは、ひょっとしたら泣いてる?
それを指摘したら彼は怒るか、更に泣いてしまうか。
どちらも嫌だったから、指摘はしない。

「信じてくれないのかな。ぼくはずっときみが好き。これからも」

「ずっと、とは何時までだ」

「だから、永遠に」

「それが信じられない。・・・十五年を何倍しても永遠には届かない」

「うん・・・そうだね・・・それでも、永遠を見るぼくが」


ぼくの歪んだ論理(ロジック)
きみの歪んだ論理(ロジック)


平行線をたどりそうな想いだけれども、根底にある必要条件は同じ。

−きみを愛しているぼく

−そして、ぼくを愛してくれるきみ


「・・・ねぇ、何年だったら信じてくれる?」

少しだけ明るい声にして、−そう、喧嘩なんてしてなくて、今が最中の睦言みたいに−問いかけた。


「・・・百年」


御剣からの返答はぼくを十分びっくりさせた。
永遠も百年も同じようなものじゃないか。

・・・いや、違うか。

百年後は、まだぼくたちはぼくたちとして、存在している可能性がある。
弁護士のぼくと、検事のきみ。勿論、引退してるだろうけど。
成歩堂龍一と、御剣怜侍であることは間違いない。
でも、『永遠』の場合はそうはいかなくて。


「勿論、じゃ、とりあえず百年、きみを愛するって誓うよ」

御剣の身体をぐいっと引っ張ってこっちをむかせた。
俯いている額にキス。

「うむ」

ようやく御剣の御機嫌はなおったようだ。

「ねぇ、キスしよう」

顎に指をかけて、唇を寄せた。
御剣は目を閉じて、ぼくを受け入れた。




熱い夜が更けて、事後の火照った身体が少しさめたころ。
もう眠ったかと思った御剣が言葉を発した。
梳いていた髪をひっぱりすぎたのかと、ぼくは反射的に謝った。

「ごめん、起こした?」

「…もし……きみが」

「ん?」

掠れた声をよく聞き取ろうと、口元に耳を寄せた。
熱い吐息が頬に触れる。

「もしも、百年たって…きみが」

うん、百年後はギリギリぼくたちがぼくたちか。
それとも生まれ変わっている頃だよね。

「まだ、私を好きなら」

「勿論、好きに決まっているだろ」


「…迎えに来たまえ」

「うん。待っててくれる?」


ぼくは目の奥が熱くなった。
ぼくと同じくらい、御剣はぼくが好きなんだ、って思えた。


「待っている。…もしも…私がきみを忘れていたら…」

「大丈夫、ぼくはきみを覚えてるから」


あぁ、そっか。
きみが怖いのは、ぼくを信じることじゃなく。
自分自身を信じることなんだ。



「百年後でも、二百年後でも、何度でも迎えに行くよ」




「…ありがとう」



forever more

forever love



ぼくはきみと永遠の恋をした。


そして、百年毎の恋の約束をした。



−永遠に『最も近い』恋




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++novel
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普通に甘いORエロい恋人モノには印をつけてません。(本番シーンを含んでいても) 怖い系・寒い系には水色(黒ナル?白ナル?)、キモい系(キモ歩堂)にはピンクです。(エログロとかすぷらったとかそういう系ではありません。) ギャグは黄色です。
さくらんうさぎ的な原作ナルミツ感に基づく一貫性を持った小説群です。




基本妄想小説。一部イラスト。
カレーを作ろう (初:ナルミツ小説)
・検事の手料理編その1 カレーを作ろう
・検事の手料理編その2 料理の必須品
・検事の手料理編その3 浪漫街道
・検事の手料理編その4 定番のそのようなこと
・検事の御部屋編その1 おねだり
・検事の御部屋編その2 食べ合わせ 3への前振り。
・検事の御部屋編その3 お風呂に入ろう
・検事の御部屋編その4 制服プレイ? 表面+裏面
・検事と一緒 その1 図書館
・検事と一緒 その2 神社 表面+裏面
・検事と一緒 その3 花見
そうだ、京都へ行こう
そうだ、京都へ行こうU京都で思いついた発言集
御剣さんクリスマスver イラストなので・・・+小説
クリスマスver1  イラストなので(現在リンク切れ中)
クリスマスver2 イラスト+小説
落書きNo.1
記念日 100日連続更新妄想
101回目 101回目total更新妄想
アメリカ版DS妄想 Miles/Phoenix前提 Phoenix×御剣 (過去小ネタより。Translation of this fic into English at some future date )
アメリカ版DS妄想 Miles/Phoenix前提 Phoenix×御剣 changeling 前半戦(Translation of this fic into English at some future date )
5月4日 スーパーにいけない子猫ちゃんの為の限定更新
5月5日 子供の日イラスト
love forever? さくらんうさぎ的ナルミツ恋愛感。根底はそんな感じで。
Shall we dance? ナルミツでメイミツでミツマヨでメイナル・・・?謎の小話。みんな御剣が好きなの。
ハロウィン時間さえあれば・・・もっと書きたかった
Sunrise あまりにも寒かったので思わずメールでss
Status きみとぼくの場所ss
Blue Moon ,Blue Night Sky ,Blue Fallin Snow... 2004年冬・2005年2月無料配布本サンプル。(内容は違います)
メッセージ復帰第一弾
弁護士の恋復帰第二弾
たとえばそんな物語  キーワードから連想された妄想の披露 なんでそうなるの?というツッコミは不可。
たとえばそんなVol.1 キーワード:監禁(parallel)
たとえばそんなVol.2 キーワード:ハニートースト
たとえばそんなVol.3 キーワード:東京バナナ
たとえばそんなVol.4 キーワード:オリンピック
たとえばそんなVol.5 キーワード:朝

基本妄想:30のお題編
30のお題(逆裁サーチさんより)
六法全書 最中の睦言
 ちょこっと刑事→検事 でもナルミツ
切符 カップル専用
携帯電話 大人向け
寝不足 お約束
写真 おかず用に
バッチ 短め。珍しくしんみりとエロなし
公園 待ち合わせ
宴会  冥ちゃん登場 冥×御剣(笑) でもナルミツ
キーボード あの名曲
 閉じ込められたのは?
トノサマン イベント系
ケーキ  ショートケーキが好きな理由
誤認逮捕 仕事と恋
雪だるま ワールドスタンダード
手紙 年賀状
セピア色 思い出と同窓会
笑顔 御剣の好きなもの
ホテル
雨上がり 夕焼けと想い人
怖い 魔法
コーヒーカップ 甘いキス
もしも・・・・・・ English
朝日の中で 視線
暖炉
アリバイ
花瓶
オバチャン
信じましょう 難解。一見文章力0。一度書いてみたかった心象
異議あり!!