Vol.2 キーワード:ハニートースト 「すまない。蜂蜜をきらせてしまった」 朝食時、先に起きた御剣が、おはようと言ってトーストを焼き始めた成歩堂に向って言った。 休日の朝、惰眠を貪る成歩堂を起こさずに、先に朝食を取っていた御剣。 「あとは、何?バターといちごジャムとチョコレートかぁ」 冷蔵庫を開けて、成歩堂は呟く。 何となく、今日は蜂蜜を食べたい気分だった。 「半分頂戴」 振り返って、御剣を見た。 丁度、御剣は最後の一口を食べるところだった。 「・・・すまない」 「いいよ。また買ってくるから。あ・・・」 成歩堂はにっこりと笑った。 その笑顔に邪な気配を感じて、思わず御剣は椅子から立ち上がる。 「ご馳走さま」 「ちょっと待って」 成歩堂は後ろから御剣を羽交い絞めにする。 「どうして逃げるのかな?」 「逃げてない」 パジャマの上から、上半身を探る。 「くぅっ」 弱い部分を撫でられて、御剣は声を漏らす。 昨夜も成歩堂に何度も触れられ、愛撫された胸。 布を通して、成歩堂の指に先端を摘まれた。 「感じちゃった?」 「離せっ・・・」 声はもう甘い響きを帯びていて、全く真実味がない。 成歩堂は、手をしたに滑らせる。 パジャマの中に潜り込ませ、御剣自身を軽く握った。 片手はしっかりと腰に回して、逃げられないように。 「蜂蜜がきれちゃったからね。きみの蜜で食べようかな」 一旦、手を離し、テーブルの上の食パンの袋を引き寄せる。 中から柔らかなパンを一枚取った。 「ひゃ…やめろッ」 手ではなく、しっとりして柔らかなものに包み込まれる。 成歩堂は食パン越しに御剣を包み込む。 「そんな可愛い声だして」 赤く染まった耳朶に舌を這わせて、息をふきかける。 御剣は小さく声を上げて首をすくめた。 「ふぁ・・・あ。やめッ」 やわやわと軽く刺激され、御剣は腰がくだけそうになった。 成歩堂は何とか御剣を支えて、上下にしごく。 パン越しという今までにない新しい刺激と、それを成歩堂が食べる意思の元でしている、という奇妙なシチュエーション。 御剣は成歩堂の与える快楽に屈した。 「ふ・・・」 成歩堂の腕が離され、床に膝をつく。 「大丈夫?」 成歩堂は御剣の前にまわって、顔をのぞきこんだ。 潤んだ彼の瞳を見て、笑顔を浮かべる。 「でも、気持ちよかったみたいだね」 「馬鹿者ッ。貴様という奴は・・・」 その手に持っている食パンを見て、御剣は顔を真っ赤にした。 「捨てたまえ」 「嫌だね。何のためにしたと思ってるの?」 御剣が手を伸ばすより早く、成歩堂はそれを口に運ぶ。 「・・・御剣の味」 「甘くなんかないだろう」 目を逸らして、御剣は言い捨てた。 「いーや。ぼくには充分甘い」 手についた欲望の名残も成歩堂は綺麗に舌で舐め取った。 |