||||| 存在する唯一の解[Chinese Remainder Theorem] |||||
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証拠物件



やけに目覚めが悪い。
しかし、どれだけ疲れていようが起き上がらなければ。

身体が熱く、だるい。
体調を崩してしまったのだろうか。

ひょっとすると、もう起床時刻は過ぎているのではないか。

ふっと過ぎった考えに、思考が覚醒した。
時計を見ようとして、自分の家ではないことに気がついた。

「・・・な・・・」

思わずあげた声は掠れて、自分でも聞き取れなかった。

私を抱き締めた腕がぴくっと動き、首筋に触れていた頭が上げられた。

「あ・・・おはよ」

成歩堂が、へらっと笑った。



「・・の・・・て・・・くれ・・」


「あ、声掠れちゃったね」

成歩堂は眉をひそめ、私の唇に触れてきた。
びくっと身体をそらすと、また、成歩堂は笑った。

「そんなに照れなくてもいいじゃない」

密着した素肌が熱くて、居心地が悪くて、腕を振り解こうとした。
だが、力が入らない。

「可愛いね、御剣」

気持ち悪いことを言って、擦りよってくる成歩堂。
頭をふり、手で押しやるが、全く効果はない。

実力行使と、半ば上に乗っかった身体を押しのけようとしたが・・・


「あ・・・?」

「ん・・・御剣、そんなに締め付けないでよ。朝から欲しくなっちゃうでしょ」

「な・・・い・・・」
何を言っている、と怒鳴ろうとしたが、声は出らず、怒鳴るだけの力も出ない。
下肢と下腹部に鈍痛と痺れ。

「・・・ッ」

成歩堂の胸を叩き、退かせようとするが、全く動じない。
常ならば、殴り飛ばすことも出来るのに、力が入らず、反対に成歩堂にすがっているようにもみえる。

息をきらして、ベッドに拳を置く。

「御剣、好きだよ」

聞いたこともない程に、甘ったるい成歩堂の声。

頬を滑る指に背筋が震えた。

「な・・・ぜ・・・」

「御剣」

近づいてくる顔が、キスを迫っていることに気づかずに、私は唇を塞がれた。
塞がれた直後も、何が何だか判らずに、時間が止まった。





御剣の動く気配にぼくは目が覚めた。
昨日までだったら、こんな僅かな動きじゃ、絶対ぼくは起きなかっただろう。
御剣に身体をそっと動かされて、頬を軽く叩かれたりして、ようやく起きたりする日もあるくらいだったから。

何と言っても、御剣とひとつになった翌日だからね。
ちょっとでも労わってあげたいって深層心理と、実際的な問題で、ぼくは目が覚めたというわけだ。

−繋がったまま、眠ってしまったから

「おはよ・・・」

御剣は白い顔を真っ赤にして、ぼくを見て、口を開いた。
何事か言おうとしたけれど、その言葉は届かなかった。

「声、掠れちゃったね」

御剣の涼やかな声が聞こえないのは残念だけど、昨夜、あんなに声を上げちゃったから仕方ないね。いつも、上げないような類の声だったし。
まぁ、あんなイイ声、いつもあげられちゃ、ぼくは持たないだろうな。

なんて考えながら、昨日、散々触れてキスしたせいか、いつもより色づいて見える唇に指を這わせた。
御剣は恥ずかしいのか、身を捩じらす。

素肌を触れ合わせて、朝のひとときを楽しもうと思ったのに、御剣ときたら、恥らってぼくの腕から逃れようとするばかりで。
でも、やっぱり、下半身はほとんど動かないみたいで、結局ぼくが勝った。
本当ならぼくより強いだろう腕力も、今日は力が抜けきっているのか、ぼくを叩いてくる手もまるで子猫がじゃれているようにしか思えない。一層、御剣が愛しくなった。
掠れた声で何か言おうとしているのだが、それはもう言葉というより、ぼくの欲望を刺激する音楽にしか聞こえなかった。

「御剣、好きだよ」

ぼくもきみも判りきってる言葉だけど。
きみにもっと気持ちを判って貰いたくて、ぼくは囁く。
疑い深いきみが迷うことないように、何度でも。


「御剣」


考え込んでいるような表情の御剣に顔を寄せる。

−そんなに何を考えるの?ぼくはちゃんときみを好きだよ

ぼくは証拠のひとつとして、柔らかな御剣の唇に、唇を重ねた。







息苦しさに成歩堂の胸を叩く。
しつこく追ってくる唇から離されて、肩で息をする。
呼吸をする度に節々が痛む。

「かわいい」

むせて成歩堂を恨みがましく見上げると、そんなことを言ってきた。
きっと呆けているに違いない。

いろいろと言いたいことはあったが、出勤時間が気になる。
ひろげられた両足の間から動かない成歩堂を押す。
見ようと思わなくても目に入ってしまった結合部分。

思わず目を閉じると、頭に軽く何かが触れた。

「ッ・・・」

成歩堂が退き、開放された部分が収縮する。
はっきりとは見ていなくても、感覚で判る、彼との結合。

痛みと違和感はなくなった筈なのに、そこに感じる感覚。
まだ成歩堂がいるような。

「・・・あ・・・」

ベッドから降りようとしたが、何処にも力が入らずに、ぺたりと座り込んでしまった。

「危ない」

成歩堂の手が両脇に添えられ、ずるずるとベッドに引き上げられた。

「立てないでしょ。初めてだもんね」

成歩堂の声は嬉しそうにしか聞こえない。
ふつふつと怒りがこみ上げてきた。

「・・・っ・・・あ・・・き・・・」

怒鳴りたいのに、声は出てこない。
声が出ないことに、また苛立たしさが増して、私はシーツを握り締めた。

「何か飲み物持って来るね。今日は休むでしょ」

ぼくが連絡してあげる、と成歩堂はベッドから降りる。

「ちゃんと説明するから。きみは何も悪くないよ」

にっこりと笑う成歩堂。

何をどう説明するのだ。

冷や汗が流れ落ちた。

「・・・いぃ・・・」

自分でする、と必死で成歩堂の視線に訴える。

「声でないでしょ?あぁ、まず何か飲ませてあげるよ」

成歩堂は勝手にひとりで頷いて、部屋から出て行った。

何がどうして、こんな状況になってしまったのか。
思考をこらすが、全く検討もつかない。

−夢であればいいのに

声が出るようになったら成歩堂に心意の程を問いただしてやろうと心に決めた。
力が出るようになったら、気が済むまで殴ってやろうと、軽くしか握れない拳を握って考えた。

そして、私は深い溜息をついた。

−きっと・・・こんなことは夢に違いない







慣れてないのだろう。
深く貪るキスの間に、呼吸が出来なかったらしい御剣。
必死でぼくを押しのけようとする。
それでも力が抜けきっているから、うまくいかない。
可愛い様子を見たくて、わざとぼくは執拗に唇を追った。

「かわいい」

きっと睨み上げてくる表情も、言い表せないほど可愛い。
潤んだ瞳で、濡れた唇で、見上げてくる御剣。
可愛い以外に表現出来ない。

股間に視線をやってしまって、真っ赤になっているところも可愛かった。
まだ、ぼく自身は御剣の中にいて、熱を感じていた。
いれっぱなしというのも結構キツイんだ。
だけども、一分でも長く御剣と繋がっていたくて、今まで抜きたいと思わなかった。

そろそろ離れなくちゃね、さすがに。
喉が枯れている御剣に飲み物をあげたいし。

ゆっくりと身体を離す。
目を閉じたままの御剣の頭をそっと撫でた。
指の間から髪をこぼして、さらさらの手触りも楽しんだ。

もう少し余韻を楽しもうと思ったのに、御剣ときたらせっかちだから、早速立ち上がってしまう。

そんなにすぐに起き上がれないよ?

忠告は遅すぎて、御剣は床に片足を下ろした。
次に起こることを予想してぼくは慌てて手を伸ばした。

だけど、少し遅かった。

「危ない」

床に座り込んでしまった御剣の身体をベッドに引き上げた。
頭から倒れなくて本当にほっとした。

「立てないでしょ?はじめてだもんね」

元々そのように出来てない身体。
その上、朝まで繋がっていたんだから、腰にもきてるに違いない。
ぼくも何だか少し痺れ気味だもん。

御剣が何か喋ろうとするんだけど、掠れてしまって聞き取れない。

「何か飲み物持って来るね。今日は休むでしょ」

この状態で出勤できるとはとても思えないし、こんな抵抗出来ない程無防備な状態で家から出て欲しくない。御剣は綺麗で可愛いから何処で狙われるかわかんないよ。

「ぼくが連絡してあげる。声でないでしょ。ちゃんと説明するから。きみは何も悪くないよ」

御剣が首を左右に振る。
でも、声が出ない状態でどうやって連絡するの?

ぼくの所為だって、ちゃんと謝るつもりなんだけどなぁ。
あとで言ってきかせるとして、とりあえず御剣に飲み物を持ってきてあげよう。

そう決めたぼくはベッドから降りて、キッチンへ向った。







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