TREK










28日の妄想と続いてます。
例の御剣を泣かしちゃうシーンの妄想。
SFは楽しいなぁ。
明日、ST(クラシック)のDVDが届くのですよ!映画版。
んもう、楽しみで楽しみで・・・カーク艦長とスポックの絡み〜♪
ST(クラシック)ファンの方、声をかけて熱く語って頂けると大変嬉しいです・・・









御剣を泣かせてしまった―

キツイ言葉を言ったのはぼく。
彼を傷つけると知っていたのに、勢いで言ってしまった。
泣く、と思っていたのに、いざ泣かれると、抱えきれない罪悪感。
罪の意識でいっぱいの胸が締め付けられる。
この気持ちはきっと一生忘れられない。



言わなければよかった、とまでは思わない。
今、言わなくても、きっとこの状態が続けば何時か言ってしまっただろうから。

それでも、言い方ってものがあるだろう!
自分で自分に腹が立つ。







―キスも苦手な御剣

しつこく唇をよせて、隙を見てキスをする。
一度合わせると逃げられはしないけど、腕の中で固まったままで。

何度か抱きたいって軽い意思表示をする度に、退けられて。

ぼくが触れることにも怯えた様子を見せる。


仕方ないことだってわかってはいる。
でも、ぼくは御剣が大好きで、手にいれたくてたまらなくて、追いかけてきた。
御剣にとって死んだほうがマシだったような状況から救い出したのに、何時までたっても慣れてくれない。
全く、ぼくに好意を見せてくれない。
嫌悪を示されないだけまだいいのかも知れないけれど。
触れられることに怯えるのも仕方のないこと。
意に染まない関係をいろいろな男に強要されてたんだから。

それでも、目の前に御剣がいて、ずっと禁欲するなんて不可能すぎる。

『ねぇ、初めてでもないのにどうしてそんなに嫌がるの?』

一言でてしまったら、あとのまつり。ひどい言葉が続けてでてきた。

『何人もの男に身を任せて生きてたくせに、ぼくには触らせないって、そんなにぼくが嫌い?』







御剣は顔を背けて、唇を噛み締めて。
声をひとつも洩らさずに、涙を零した。
静かに、零れ落ちた雫を御剣は拭いもしなかった。

拭うことで泣いていると強調することが嫌なのか、一言でも発すれば勢いで涙が溢れる、と思っているのか、言葉も発しない。


「ごめん、御剣」


小さく、ぼくは謝る。
一生懸命謝罪するにはぼくに誠意が足りないことはわかってる。


「ねえ、御剣、ぼくはそれでも全然構わない。ただ・・・ぼくが嫌いならそう言って」


御剣が他の男と寝ていたことは知っている。そうせざると得ない状況だった。
知っていて、その上で変わらずに好き。
きみが綺麗な身体じゃなくても全然構わない。


「そしたら、諦める。嫌だけど、諦める。きみがすきだけど、忘れる」


「・・・」

御剣の唇が動く。
声にならない音。


「御剣、ぼくはきみが好きなんだ。ほんとにきみの過去なんかどうでもいい」


「・・・ッ。わ、わたしは・・・」

小さな、声で。
声を出したことで、御剣の頬にもう一筋涙が零れた。


「きみが・・・嫌いじゃないッ」


息を吸う音。
御剣が懸命に話そうとしている。

ぼくはそうっと、彼の身体を抱き寄せた。
想像に反して、抵抗なく胸におさまる。
いつものように強張ったりもしなかった。


「きみが、好きだ・・・でも・・・わたしは、きみが思っているような」


ぼくは思わず御剣の身体をぎゅっと抱き締める。
好き、だといってくれた。
恋人として好きになれる、という意味じゃなくても、舞い上がるほど嬉しい。


「きみが、知っている昔のわたしでは、ない」


なんだか胸元が熱い。
声も震えていて、御剣が泣きながら話していることが知れた。


「・・・もっと前に、きみに再会できていたらよかった」


「どうして?今じゃ駄目なの。救うのが遅かったことを怒ってる?」


「違うッ。きみには感謝している。本当だ。でも・・・私は、もう」


そこで言葉が途切れた。


「ぼくは、今のきみも好き。昔のきみも好き。そして、これからのきみも好き」


「・・・わたしに、きみに好いて貰う価値はないのだ」


「ぼくにとって、きみほど価値のあるものはないよ。命をかけてもいい」


文字通り、命をかけて救ったのだから、それは何処から見ても真実だと思う。


「今のきみも凄く魅力的だよ。綺麗だ」


すると、御剣が堪えきれない嗚咽を洩らした。

ぼくは更に泣かせてしまったことにうろたえる。


「ごめん、御剣、泣き止んで」


「・・・綺麗なわけない」


「綺麗だよ」


泣いている顔を強引に上げさせて、眦にキス。

泣いて紅潮した頬にもキス。


「綺麗」


「・・・」


「きみはぼくが好き?」


御剣はこくり、と頷いた。


「お願い、もう一度でいいから言って」


「・・・好き」


「あぁ、御剣」


ぼくは細い御剣の身体が折れるんじゃないかという力で抱き締めた。
御剣の腕もぼくの背を抱き返してきた。

本当に幸せで、涙が浮かんできた。


「御剣、愛してるよ」


両思いだよね、と再確認したら、真っ赤になって頷いた。
可愛くて、唇を重ねた。
今回はいつもと違う深いキス。

御剣は従順に唇を開いてぼくを受け入れた。
貪られているだけで、動きは拙い。
本当にあの御剣と同一だとは思えない。うっかり脳裏に浮かんだ過去の記録映像を思い出して、それを瞬時に追い出した。
過去はおわったこと。これからの御剣はもうぼくだけのもの。
この会話だってセキュリティに残ってるし、御剣が心変わりをしたときの為の言質にしようと思うぼく。


可愛い御剣。絶対に手放すもんかと、ぼくはもう何百回目か、心に誓ったのだった。