XXX ソファに二人腰掛けて、何を話そうか。 これまでのこと、これからのこと? そんなことじゃなくて、今しか出来ないことー ぼくの頬に触れるきみの手が心地よくて きみにも気持ちいいって感じて欲しくて、同じように手を伸ばした。 びっくりしたように見開かれた目、その表情が凄く可愛いと思った。 成歩堂の手が私の頬に触れて、あたたかな指が唇を辿った。 黒目がちな瞳に見つめられているのが何となく気恥ずかしくて 目を合わせていられなくて、瞼を閉じた。 御剣の長い睫がおりて、ぼくはどきっとした。 俯き加減の顎をそっととらえて優しく上むかせて 恐る恐る、綺麗な色の唇に、ぼくの唇を重ねた。 唇に、指よりもあたたかくて、柔らかな感触。 目を開いたら、ぼやけるほど至近距離に成歩堂の顔。 キスをされているのだ、と感じた身体の熱が上がった。 かたまったように動かない御剣。 ぼくは震える手を彼の背にまわして、引き寄せる。 角度をかえて、より深く、彼を貪る。 引き寄せられて、口内に侵入する成歩堂。 無意識に唇を開き、彼を受け入れていた。 自分の心より、身体のほうが早く、彼の存在を愛しいと気づいている。 御剣の柔らかな舌がぼくのそれと絡み合う。 深く、でも、ぎこちない口付け。 それでも、身体の芯が熱くなる。 所在なく、ソファにかけられていた手を、成歩堂の背に回した。 一層強く、抱き締められて、深く思われているのだと感じられた。 嬉しいのに何故か目頭が熱くなった。 ぽろり、と御剣の眦から涙が零れ落ちた。 ダイヤモンドか、雪の結晶か、というくらい透明で綺麗で儚いものに見えた。 そのまま落としてしまうのがもったいなくて、唇ですくった。 成歩堂に落ちた涙を舐め取られた。 綺麗だったから、と臆面なくいってのけられて、赤面するしかなかった。 俯いた顔を強引に頬をはさまれて視線を合わせさせられる。 真っ赤に染まった御剣の顔、犯罪的なくらいに可愛かった。 ソファじゃなくて、ベッドに行かない?と言ったら、更に紅くなって、眦に涙を浮かべて それでも、御剣はこくり、と頷いた。 恥ずかしいというより、ふわふわした心地で。 それはきっと成歩堂のキスで麻痺させられてしまったせいだ。 髪に、頬に、そして、誓いのキス、まるで騎士のように手の甲に。 御剣はくすぐったそうに笑う。 ベッドに沈めた白い身体、至るところに口づけた。 滑らかな膚、ほんのり浮かび上がる桜色が、ぼくを夢中にさせる。 身体中に落とされるキス。 柔らかで、熱い、成歩堂の唇。 落ちた場所に熱が灯る。 ベッドに二人、絡み合って、何をしようか? キスをしよう、睦言を交わそう、それだけじゃなくて。 深く繋がって、ひとつになって、愛し合う二人にしか出来ないこと。 |