Zooerastia







余韻で時折きつく締め付ける内壁の感覚。
御剣の膚は上気して、甘い香りがした。

「御剣、いい匂い」

しっとりとした膚に手を滑らせて、ぼくはその吸い付くような心地を楽しむ。
御剣が反応するたびに、内壁が締め上げて、ぼくを刺激する。

「感じてる?」

御剣は羞恥で真っ赤になって首をすくめる。
首筋に顔を埋めて、薄い皮膚を吸い上げた。

「あ・・・」

びくん、と強く締め付けられた。

「キツイね」

笑いを含んだ声でそう告げると、御剣が頭をふる。
快感を否定したい、というように。
柔らかな髪がシーツの上で踊る。

その髪先に指を絡め、唇をよせる。
御剣の髪を口で含んでみる。

同時に、薄く開かれた御剣の唇を指でなぞった。
すると、御剣は唇を噛み締めた。

「駄目だよ」

ぐいっと、口蓋をわって、指を侵入させる。
熱くて濡れた柔らかな咥内。
まるでいま、ぼくが収納されている御剣の内部みたい。
柔らかな舌を指でさぐると、狭い口内で逃れようとする。
指で挟んで、軽く引っ張った。
くちゅ、と唾液に絡んだ音がした。
御剣が咽て、慌ててぼくは指を離した。

こちらの入り口はきつくなさそうだな、とぼんやり思った。


「緩めてくれるかな?」


抜け出そうとしても、御剣の其処は締め付けていて、楽には抜け出せなかった。
そうキツイというわけでもないけど、もっと抜くときは楽かと思ってた。

御剣は疲れきって、ぐったりと四肢を投げ出して。
その状態が、いつもの御剣からは全く想像できない淫靡さをかもし出していて、またぼくのものは出したばっかりなのに力を帯びてきた。


視界の端で何かが動いた。
そちらに視線をやると、御剣の犬が扉の入り口で律儀に座っていた。

しつけられているのだろうか。
呼ばれないと入ってこないのだろうか。


「御剣、きみの犬が見てるよ」

御剣は困難そうに上体を肘でついておこした。

「きみの犬、名前なに?」

「・・・ペスだ」


ぼくはもっと御剣を気持ちよくしてあげる方法を考え付いた。


御剣の腰を抱き、ベッドの端までひきずるように移動する。

「成歩堂?」

ベッドに腰掛ける体勢にさせて、ぼくは後ろから腰を持ち上げるようにして御剣を抱き上げる。
大腿部に臀部をのっけて、御剣の足をぼくの膝で開かせる。

「少し、腰あげれる?」

御剣は混乱しているのか、ぼくの言うとおりに前に少しのめって腰を上げる。

ぐちょぐちょに濡れた箇所にぼくは先端を押し当てる。

「ゆっくり、下ろして」

御剣が背をそらし、逃れようとした。
こちらから腰を上げて先端をねじ込む。力が抜けたところで御剣の身体をぼくのほうへ引く。
根元まですっぽりと飲み込んでしまって、御剣はもう動けない。

やっぱり、急所だからなのか、挿入してしまうと御剣の力は入らない状態になって、抵抗が弱弱しい。
そして、そんな抵抗をするからこそ、ぼくが更に燃えちゃうってことに御剣は気づいてない。

ぐいぐいと腰を押し付けていると、御剣の先端からも蜜が零れはじめる。

絶頂に迎えるほどの刺激ではないのか、御剣が無意識で腰を揺らす。
ぼくのもので感じるところを擦ろうとするように。

「はしたない真似しちゃ駄目だよ」

ぼくが動かないことに業を煮やしたのか、御剣の手が自身に触れようとした。
ぼくは優しくその手を絡め取る。

御剣は濡れた眼差しをこちらに送ってきた。


「大丈夫。ちゃんと気持ちよくしてあげるから」


「ペス。おいで」

「なるほどう・・・何を」



呼ばれたからか、ようやく犬が室内にはいってきた。

尻尾をふって、御剣の足にじゃれつく。


「あ・・・」

身体中が敏感になっている御剣にはそれさえも刺激で。


「よくしつけられてるね。さすが御剣の犬」

「な、るほどう・・・?」

「ほら、ペス」

御剣と絡めた手を犬の前にだす。
犬は御剣の手をぺろりと舐めた。

「こっちも舐めてあげて。御主人さまが喜ぶからね」

「なッ・・・あ」

手を犬を導くようにそりかえった御剣の分身あたりでひらひらと動かす。


「ひゃ・・・あ・・・駄目だッ」


犬が御剣のものを舐めた。
主人の様子が楽しいのか、喜んでもらえていると理解したのか、夢中でそれを舐めとる。
御剣はそれを止めようとするが、手はぼくに絡め取られ、足も閉じれる状態ではない。
言葉を出そうとしても、自身の手ごとぼくの掌で覆ってしまって、くぐもった嬌声しか漏れない。


「ん・・・ぅ・・・」

「ほら、御剣の蜜、美味しいみたいだよ」

「ぁ・・・」

「きみの好きなふたりに気持ちよくして貰って、幸せでしょ?」

御剣は激しく腰を揺らす。
御剣のそこはどくどくと濃い液体を流し始める。

そして、はじけた。

「気持ちよかったでしょ。凄く締め付けてる」

御剣はぐったりして、ぼくの腕に身体を預けている。

「御剣」

ぼくは触れられる範囲に唇を押し当てていく。

「ぼくの蜜は美味しかった?搾り取られるみたいだったけど」

御剣の手が上がり、軽くひっかかれる。
ぼくは後ろに下がって、きつい締め付けからずるっと己を引き出した。

力の入りきらない御剣はぼくから離れようとしてか、ベッドから滑り落ちた。


「大丈夫?」


絨毯の上に座り込んで、御剣はぼくを見上げた。
座り込んで、というのは的確じゃない。
立ち上がれないんだ。

膝なんか震えちゃって、まるで生まれたての小鹿みたい。


「丁度いいや」


ぼくはベッドの端に腰掛ける。
両腕を突いた御剣の顎を引き寄せる。

四つんばいの姿勢になった御剣の挟間から液体が滴り落ちた。

「味確かめてみる?」

ぼくのものを目前に差し出す。

御剣は目を逸らす。

「下の口は美味しそうに吸い上げてたけど?」

御剣がきっと険しい視線で睨み上げてきた。
そんな表情もぼくをうっとりさせるだけだって、やっぱり御剣、わかってない。

「・・・っあ・・・」

「へぇ、やっぱり御剣ってケダモノから見ても艶っぽいんだね」

ぼくは『恋敵?』の行動にちょっと感心してしまった。
丁度腰をかかげた体勢の御剣の後ろから、彼の愛犬がのっかてしまった。
まぁ、今まで見せ付けてたから一回くらいいいか、とかぼくは寛容な気持ちで犬が激しく腰を振るのを見ていた。

「あ・・・だ、めだ・・・」

「きみの犬も頑張ってるんだから、きみもやってみなよ」

ぼくは御剣の開かれた口にいきりたってきたそれを押し込む。

咥内の感覚だけで達しそうだ。
押し出すように動く舌の感覚さえもぼくを刺激する。
押し出されないように、顎を押さえ、奥へねじ込む。

そして、ゆっくりと腰を動かす。

「ん・・・ッ」

「ねぇ、前と後ろから攻められるのってどんな気持ち?」

ぼくの声も熱っぽい。

だって、あの『御剣』がケダモノとぼくとに犯されて、喘いでるんだよ。
清廉で高潔な彼が、白濁にまみれて、滴らせて、ぼくの前で獣と交わってる。

両手を床についてぼくのものを咥えこまされて。
後ろからは・・・


「御剣」


ぼくは御剣の頬を撫でる。
零れ落ちる涙が綺麗だった。

どうして、こんなに苦しげな表情でも、ぼくはきみを綺麗だと思うんだろう。


「もうちょっとだから」


そして、言葉どおり、ぼくは御剣の喉奥に白濁を放った。



「どっか痛い?」


水からあげられた、溺れていたひとみたいだと思った。
身体を抱いて、背中をさすって、ようやく呼吸が落ち着いてきた。
時折咽て、その度にぼくはびくっとした。

どうしてあんなことをしたんだろう。

御剣を苦しませるつもりはなかったのに。
さめた後の熱は、ひんやりどころか、身体をぞくりとさせる。

御剣に傷なんてつけたら、ぼくは自分で自分を殺したくなるくらいなのに。
気位の高い御剣になんてことをしたのか。

白濁と汗と、汚れた身体を拭いてあげたいけど、片時も手を離せなかった。

はなした瞬間に御剣が死んじゃうんじゃないかって気持ちになって。


「苦しい?」


「・・・苦しい」


「ごめん」


「・・・」


「ごめん。何でもする。許して。もうしないから」


「・・・あたりまえだ」


御剣が深く、息をついた。

きつく抱き締めることも、怖くて出来ない。
そのくらい、脆そうに見えた。

「気持ち悪い・・・」

起き上がろうとする御剣を支える。

零れ落ちた液体の感覚に御剣は眉をよせた。

「痛い?」


「貴様の所為だ」


「うん」


「だから、責任をとりたまえ」


「え・・・」


腕の中に御剣の重み。
意識を失ったみたい。


「ごめんね」


きみが目覚めるときには、全て夢だったと思えるように。

何一つ、痕跡さえ残さずに、綺麗にしておこう。