Obsession 「御剣・・・ひどいよッ」 「・・・どうかしたのか?」 御剣は愛犬のふさふさした頭を撫でながら、不思議そうに首を傾げる。 「きみは犬が苦手ではなかったと思うが」 初めて成歩堂を自宅によんで、愛犬を引き合わせた。 ひょっとして大型犬は苦手なのだろうか。 御剣はそんなことを考えた。 「そんな・・・ケダモノに、可愛い顔とか見せちゃって!」 はぁ、と御剣は思いっきり不審な表情を浮かべる。 成歩堂は自分の世界に入ってしまっていて、拳を握り締めている。 彼の脳の中では、犬と一緒に風呂に入る御剣、犬に顔を舐められて笑う御剣、主人が大好きな犬に押し倒される御剣、そして、欲情した犬に貫かれる姿、までまるで走馬灯のごとくの勢いで妄想されていた。 成歩堂がおかしいなぁ、と思いつつ、御剣は甘えてくる犬に顔を埋める。 犬に耳を舐められて、くすぐったくて御剣は笑った。 「成歩堂?」 唐突に腕を引っ張られて、御剣は顔を上げる。 「痛い」 かなり強く手首を掴まれて、眉をひそめる。 成歩堂は御剣を引っ張って、居間を出る。 扉を開き、次の扉をまた開いてー 寝室に御剣を引っ張り込んだ。 「成歩堂?」 どん、と背を押されてベットに倒される。 「ぼくを見て。犬なんかじゃなくて」 何を言っているのだろう、と御剣は成歩堂を見上げる。 「犬より、絶対、ぼくのほうがきみを気持ちよくしてあげられる」 「な。なッ」 名を呼ぼうとした声は喉でひっかかった。 成歩堂が覆いかぶさってきて、キスをしてきた。 「やめたまえ」 「やめないよ。すぐに気持ちよくしてあげる」 スラックスの上から御剣自身を撫でる。 蹴り上げようとした足を成歩堂に押さえ込まれた。 手荒くひっくり返されて、背を押さえられる。 御剣はシーツに爪をたて、起き上がろうとするが、体勢が悪い。 下着ごとスラックスをひきずりおろされる。 「やめろッ。何をする気だっ」 「わかってるでしょ」 「ひゃ・・・」 成歩堂の指がぐいっと双丘の間に入りこんだ。 急所になる其処に指などいれられては、御剣も身動きがとれない。 「痛い・・・抜いてくれ」 「すぐによくなるから」 ぐい、と指を曲げられて、侵蝕される感覚に御剣は悲鳴を上げる。 白い指がシーツを握り締め、足先が痙攣する。 「やめて・・・くれ」 懇願しても、成歩堂は指を動かし続ける。 引き攣れていた其処が次第に痺れてくる。 痛みは感じていなくても、緊張した身体では快感と感じる余裕もない。 御剣の表情は苦痛のままで、成歩堂はほんの少しだけ後ろめたくなった。 「御剣」 出来るだけ、優しく囁く。 御剣が潤んだ瞳を開ける。 後ろから覗き込んで、成歩堂は目をあわせる。 「御剣、ぼくはきみが好きなんだ」 「・・・こんなことは・・・嫌だ」 「きみを傷つけることはしない」 その行為自体が御剣を傷つけていることに成歩堂は目を瞑る。 「痛くないよ。ケダモノなんかで欲求を充たすんじゃなくて、ぼくのものになりなよ」 意味が判らず、御剣は眉を寄せる。 「私は・・・誰のものでもない」 「じゃぁ、ぼくをきみのものにしなよ」 「・・・それならいい」 御剣は僅かに微笑んだ。 成歩堂のことは嫌いではない。 寧ろ、好きだった。 こんな乱暴を受けても、憎めないのだから、思っていた以上に好きなのだろう。 「きみを気持ちよくしてあげる」 成歩堂は御剣の額に口づける。 弛緩した身体を撫で、愛撫を続ける。 解れた其処が粘着質な音をたてるようになる。 御剣の頬がほんのりと染まり、抑え気味の呼吸が色っぽい。 「痛くないでしょ?」 成歩堂の問いに、御剣は瞼を伏せる。 軽く指先で叩くように前立腺を刺激すると、御剣が声を洩らした。 「気持ちいい?」 既に三本の指を飲み込んでしまっている其処。 浅く抜き差しをしても、御剣に苦痛の様子はない。 ひろがりながらもきつく絡みつく其処。 成歩堂はごくり、と唾を飲み込んだ。 収縮する内壁に逆らって、少しずつ指を抜きだした。 「はぁ・・・」 御剣の溜息が、更に成歩堂を刺激する。 開放された、と御剣は安堵したのか、くったりと横たわったまま。 成歩堂は素早く服を脱ぎ捨てて、御剣をそっと抱き起こす。 「御剣」 上衣を脱がせ、ベストの釦を外す。 そこで、御剣が成歩堂を押しのけるようにもがいた。 「どうしたの?」 「何をする」 「だから、もっと気持ちよくしてあげる。ぼくはきみの奴隷だよ」 成歩堂は御剣の頬に、そして唇に触れるだけのキスをした。 「きみの犬でもいい」 「・・・大きいな」 御剣は成歩堂の髪を撫で、笑った。 成歩堂は御剣の気が抜けている間に、とそそくさと衣服を脱がしてしまった。 御剣を下にして、下半身を押し付ける。 猛る成歩堂自身が触れ、御剣は視線をそちらに向ける。 「・・・どうするのだ?」 成歩堂はこたえずに、御剣の大腿部を押し上げる。 両脚の間に下半身を滑り込ませる。 「や・・・」 足をひろげられる羞恥にか、御剣が逃げを打ち、ずりあがる。 そんな御剣の腰を撫でる。 「大丈夫。綺麗だよ、御剣」 成歩堂は真っ赤になった耳朶を軽く食んで、囁く。 「見せて。恥ずかしがらないで」 両脚を折り曲げさせて、腰を上げさせた。 御剣は腕で顔を覆ってしまう。 成歩堂は、可愛いな、と思って、表情を緩める。 解した場所もまだ濡れている。 白い挟間に、息づく蕾に、成歩堂は唇をあてる。 「あぁ・・・ッ」 舌でねぶられて、御剣は思わず声をあげる。 細く高い声が恥ずかしかったのか、手の甲を噛んで、声を堪える。 最後の仕上げ、とばかりに成歩堂は緩まったそこに舌先を入れて、壁をゆるゆると刺激した。 びくびくと小さな痙攣を繰り返す御剣。 顔を上げ、成歩堂はその愛撫から開放する。 ほう、と御剣は息を吐いて、身体の力を抜いた。 成歩堂は御剣に覆いかぶさり、自身に手を添える。 くちゅ、と音がして、御剣の濡れた箇所と触れ合わせる。 「熱い」 ここまできたら、さすがに御剣も何をされるのかわかっただろう。 それでも、御剣は制止はしなかった。 それは成歩堂にとって承諾ととれた。 「・・・ぁ」 貫かれて御剣は背をそらす。 成歩堂の肩を掴む。 押し返すのではなく、すがりついた。 成歩堂もしっかりと御剣の身体を抱き締めた。 押し開かれる違和感と熱。 御剣は声も出せず、衝撃をやりすごす。 「はぁ・・・」 成歩堂の動きがとまる。 「はいったよ。痛い?」 御剣は焼き切れそうな思考の隅で感覚をひろう。 「・・・痛くはない」 「どんな感じ?」 「痛い・・・より苦しい・・・熱い・・・痺れた感じが・・・する」 「ちょっと待ってみようか」 今にも腰をつかいたくてたまらないが、御剣の其処がなじむのを待とう、と成歩堂は彼の髪を梳き、膚を撫でて、そちらの感覚を楽しむ。 そのうちに、びくっと内壁が収縮し、成歩堂を締め上げた。 「熱い・・・変だ・・・」 疼くような感じ。動かずにはいられないような、神経が全てそこに集中してしまったかのような感覚。 「御剣」 成歩堂はゆっくり腰を引く。 しっかりと絡みついた内壁に引っ張り込まれるよう。 そして、奥へと擦り上げる。 「あッ」 「此処だよね」 成歩堂は何度も御剣の感じる点を突き上げる。 そりあがった御剣自身から蜜が零れる。 成歩堂の陰茎から出た蜜と、御剣の中から染み出る蜜で、次第にすべりがよくなる。 ぎゅ、と御剣に締め上げられて、成歩堂は達した。 御剣の奥へと、己の思いを吐き出した。 「気持ちよかった・・・でしょ?」 御剣は真っ赤になって目を閉じて、顔を背けてしまった。 「可愛いね」 成歩堂はくすりと笑って、御剣の髪をかきまわした。 それから、額にくちづけた。 「これから、毎日愛してあげるから」 ぼくじゃないと満足できないようにしてあげる、と囁くと、抱いている御剣の体温が更に上がった。 |