Imagination






目覚めると、腕の中に御剣がいた―

何時の間に御剣のベッドの中に潜り込んでしまったのか、記憶がない。

それどころか、いつ抱き込んだのかも覚えていない。
無意識で、御剣だと認識して抱き込んでしまったんだろうな・・・


御剣を起こさないように、そっと額に触れてみる。
少しあったかいけれど、眠っているからかもしれない。
通常の体温を知らないから、この程度が平熱だと言われればそうかも知れないなぁと思うだろう。

御剣がもぞりと動いて、

「・・・・・ッ」

ぼくは喜びのあまり、声をあげそうになる。
夢見心地の状態のまま、ぼくに擦り寄ってきたのだ。

可愛い。すっごく可愛い。

昨夜、見た御剣の裸とかをふいに思い出してしまって、ぼくの下半身は途端にタイヘンなことになりかける。
折角擦り寄ってくれている御剣を離して、ベッドを出るのはとっても惜しい。
一生懸命、息子に大人しくするように頼み込む。

それでも、御剣と密着してるものだから、なかなかそういうわけにもいかない。
ぼくも若いし、なんたって、いつもは妄想とか空想の中でしか出来ない体勢なわけなんだし。

そして、昨日は妄想ではなく、実際に御剣の全裸を見たんだ。
ほんと、綺麗で、同じ男とは思えないくらい膚とかすべすべで気持ちよくて。
つい、時間をかけて拭いてしまったよ。

恥ずかしそうに俯く御剣の表情もまた、ぼくをそそって。
病人だから、と抑えるのにタイヘンなのに、御剣は全然そういうのに疎くて。
まぁ、そこも御剣のかわいいところなんだけど!


『運動したらもっと良くなるだろうか』
とか、半裸の状態で、上目遣いで聞かれたりしたら、もう、誘われてるとしか思えないよ。
それも、ぼくは紳士だからどうにか押さえ込んで。

弱っているときにつけこむなんて、最低だからね。
それに、きっと御剣だって初めてなんだから、体調の悪いときにシたら、起き上がれなくなっちゃうだろうし。
筋肉はあるけど、細いしさぁ。
色なんか凄く白くて、弱そうだし。
腰のラインとか、もうヤバイ。目が離せない。
しかも敏感っぽくて、怖がってるわけじゃないのに、ぶるぶる震えてて。
子猫とかをつい思い浮かべちゃった。


「御剣」


柔らかな髪を撫で、腰に回していた手で更に胸に引き寄せる。
ん、と御剣が声を漏らしたが、目覚めはしなかった。


御剣が起きたら、お粥を作って、他に食べたいものがあったら買い物にいってこよう。
これからやることを羅列して、出来るだけ妄想から離れようとしたのだけど。

あ、また御剣の身体も拭いてあげなくちゃ。

そんなことを考えたら、再び、血がのぼってきてー


御剣っていい匂いなんだよなぁ。
そういうことも思い出して―

身体をもぞもぞと動かして、眠っている御剣にナニが触れないように懸命の努力をする。

自分の汗って、それなりに汗臭いというか、汗かいたなぁと気持ち悪くなるんだけども、御剣のって何だか甘い匂いが強くなる感じ。汗臭さっていうのがなかった。
フェロモンみたいな。何だかふらふらと引き寄せられる匂い。

いまの御剣はいつもの匂いだけど、それでも、充分に甘くて、ぼくは目を瞑っていても、何百人の中からでも御剣をあてることが出来ると思う。

そういえば、タオルを置いてたっけ。
それを思い出して、ぼくはこっそりと下衣に手をしのばせる。


御剣に心のなかで謝って、欲望を昇華した。


罪悪感と満足感の狭間で手を拭いながら・・・
匂いのことを忘れてたことに気づいた。
結構切羽詰ってたのかも知れない・・・


御剣がまだ熱でぼんやりした状態であることを祈った。



・・・次は御剣と一緒に出来るといいなぁとも、ついでに願っておいた。