初夢






「初夢とは、元旦の夜に見る夢のことだぞ」

御剣は気持ちよさそうに眠る成歩堂の耳元でそっと囁く。

聞こえてはいないのに、御剣は満足そうに微笑む。

昨夜、成歩堂が見たという夢を思い出して、そして、自身がその後で見た夢を思い出して、顔を少しだけ赤らめた。

御剣が見た夢。

自分にそっくりな子供を抱く成歩堂。

その隣に腰掛けて、成歩堂にそっくりな子供を抱く自分。

肩をもたれあわせて、仲睦まじく。


「・・・私は、きみの存在だけで、満足だ」


どんな夢を見ているのか、幸せそうな成歩堂の額に優しいキス。


それから、もう一寝入り、と成歩堂の身体にぴたりと寄り添った。

無意識で、成歩堂は御剣を抱き込んで、『御剣』と呟く。

御剣は少しだけ、目を見開いて、口元に微笑を浮かべた。


成歩堂の胸に頭を預けて、御剣は幸せそのものの表情で目を閉じた。