初夢?



「おいで」

ぼくが両腕をひろげると、嬉しそうにかけよってきて。

小さなあったかい身体をぼくは抱き上げる。

お気に入りのぬいぐるみを抱っこしたまま、膝の上にちょこんと座る姿はすごく可愛い。

御剣にそっくりな、可愛い顔、柔らかな髪を撫でる。

「ぱぱ」

細く高い子供の声で、小さな頃の御剣と同じ顔でぼくを見上げてきた。

「あのね」

「どうしたの?」

ぬいぐるみをぎゅっと抱き締めて、ちょっと困った顔。
そんな表情も御剣にそっくりで、ぼくは相好を崩さずにはいられない。

「けんじとべんごし、どっちになろうか迷ってるの」

あぁ、なんて可愛いんだ!

御剣と一緒の仕事をするか、ぼくと一緒の仕事にするか、って。

こんなにちっちゃいのに、悩んでみたりして。







「・・・あれ・・・?」

ぼくは盛大な溜息をついた。

御剣が身じろぐ。

「・・・夢か・・・」

それにしても可愛かった。もうちょっと見ていたかったな。

「・・・何が?」

御剣が眠そうな、不機嫌そうな表情でぼくを見た。

「夢だよ。・・・初夢、いい夢だった」

「・・・確かに、いい夢だったのだろうな」

御剣は少し伸びをした。

「きみの顔が非常にだらしない」:


「うん、まぁね。ぼくと御剣の子供ができてるんだ」

「!!」

「ん、もう、ちっちゃい頃の御剣そっくりでさ、可愛いのなんのって」

ぼくはうっとりとして、語り続ける。


御剣は飽きたのか、途中でうとうとしはじめた。

「御剣」

ぼくは会話をやめて、御剣の上に覆いかぶさる。

白い耳をぺろっと舐める。

「んっ」

「きみはどんな夢を見た?」

「・・・さぁ」

御剣がぼくを引き寄せる。


「今年、はじめてだね」

「そうだな」

「今年も宜しく」

ぼくの唇は御剣のそれでふさがれる。



「今年初の共同作業だね」

「・・・昨日も同じようなことを言ってなかったか」


そうだったね、とぼくは笑って、今度はこちらからキスをした。